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独断と偏見による古典音律解説

 

ヴェルクマイスター(Werckmeister)の調律法


ヴェルクマイスターの調律法に関しては、詳しい解説書や研究成果の発表が多数ありますので、理論的な内容や歴史的背景などはそれらを参照されることをお奨めします。
※関連書籍(書籍名、URL一覧のみ)


サンプル曲(MP3録音):
オースティン作曲 お人形の夢と目覚め



実践のために:


ヴェルクマイスターの最大の功績を端的に1つ挙げるとするなら、それは「美しい不協和音」というものを音楽家に提供した、ということだと思います。 「純正な響き=○」「うなりのある響き=×」などという単純な図式ではなく、うなりがあっても、それが美しいうなりであればOKなのだという新たな価値がここで見出されたのです。

絵画に例えるなら、確かに美しい色だけを使って美しい絵を描くことはできます。素人が濁った色で絵を書けば、ただの汚い絵になってしまうことでしょう。しかし芸術家たるもの、濁った色彩をもっていかに深みのある美しい作品を作り上げることができるか、という取り組みも当然評価されるべきものですね。

このヴェルクマイスターの調律法によって、音楽がより深みのあるものに進化することができたという功績は、音楽家として学んでおくべきことの1つだと思います。

ヴェルクマイスターの調律法には多数のバリエーションがありますが、これはつまり「美しい不協和音」というものの可能性を色々試した結果とみることもできます。
中でも代表的なものとされる第1技法3番(べルクマイスター?)の人気の秘密はその響きの美しさにあります。この調律法が多くの電子ピアノで設定可能というのはすばらしいことです。

実際の演奏会についていうと、少人数のアットホームな雰囲気の演奏会には良いと思います。一方、大きなホールで数百人〜数千人の聴衆をあつめて行うような緊張感の高いコンサートには、この調律法が持っているおだやかな雰囲気はちょっと場違いなイメージがあります。
CDの録音などで調律に十分な時間をかけることができ、家庭でリラックスして聞くことを想定しているようなレコーディングならば良い結果になるのではないかと思います。



!注意!
代表的な古典調律として「ヴェルクマイスター第1技法3番」あるいは「キルンベルガー第3」を頻繁に見かけますが、これはバッハの「平均律クラヴィーア曲集」に関する研究に伴ってクローズアップされてきた調律法であり、逆に言うとバッハの「平均律クラヴィーア曲集」以外の楽曲、及びバッハ以外の作曲家の作品に対して、やみくもにこれらの調律法を適用するのは賢い方法ではない、ということは覚えておきましょう。


※参考文献(書籍名、URL一覧のみ)


解説: Shintaro Murakami murashin@murashin.sakura.ne.jp

Copyright(C), 1998-2006, Shintaro.Murakami

キーワード:

音楽 , クラシック , ピアノ , 調律 , ベルクマイスター, ヴェルクマイスター