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ききくらべガイド
旧ききくらべガイド(H12,1,12版)はこちらです。
ご注意:はじめてこのページにいらした方は、最初に必ず「GS音源とMIDI再生ソフトのチェック」を行ってください。ここでOKの状態でない場合は、このページのデータはすべて平均律で演奏されてしまいます。
第3回 J.S.バッハ作曲 2声のインベンション第13番の場合
前回に引き続き、バッハのインベンションをとりあげます。この13番は短調の曲ですが、大変美しい響きをもつ曲として、よく知られています。
No | 調律法 | 曲名 |
1 | ピタゴラス音律 (紀元前からゴシック・14世紀ごろまで) |
2声のインベンション
データ作成: |
2 | アーロンの中全音律 (ルネッサンス後期・Pietro Aron,1480頃-1550頃) | |
3 | プレトリウスの調律法 (バロック初期・Michael Praetorius,1571頃-1621) | |
4 |
シュニットガーの調律法 | |
5 | キルンベルガー 第3法 (18世紀末・J.P.Kirnberger,1718-1795) | |
6 | 平均律 | |
7 | 番外編 導音重視タイプの調律 ハ長調、イ短調向き |
中全音律をこの曲に適用すると、臨時記号の頻出するような個所ではかなりアンバランスな響きになるような気がします。
次の時代のプレトリウスの調律法は、中全音律に対しわずか2音のみ修正を加えただけのもので、音律の解説書によっては、アーロンの中全音律とプレトリウスの音律の差異をまったく無視して同じ物であるかのように解説されている例も見うけられるほどです。しかし意外と効果の大きい改良がなされていることに気がつかれるでしょうか。こうして聴いてみると、バッハの時代まで使われることがあったといわれる中全音律は、少なくともプレトリウス程度の改良の入ったものであったと考えるのが妥当かもしれません。
次の時代のシュニットガーでは、さらに整った響きとなってきます。
キルンベルガーはバッハのもとで2年ほど学んだという経歴を持つ人で、バッハの演奏する楽器の調律を代わりに行うこともあったようです。(h.ケレタート 音律について より) ただし、キルンベルガーの調律法については批判的な意見もあり、バッハが用いた音律として決定的なものとみなされているわけではありません。
平均律は、この中では、なるほど優等生的な響き、と感じます。
番外編の導音重視タイプの音律というのは、ハ長調・イ短調に特化した形で、曲の中で導音としてよく使われる音程をかなり思いきって調整したものです。歴史的な根拠はありませんが、アンサンブルなどではこのような特徴のある音程で演奏されることもあるかもしれません。和音を重視した音律とはまた異なった趣でたのしめますね。
第2回 J.S.バッハ作曲 2声のインベンション第1番の場合
ピアノの練習曲としても、よく知られている曲ですね。
この曲集が作曲された年代は「平均律クラビーア曲集」の年代にかなり近いですし、教育目的であるという点も似ていますが、ここではあえていろいろと聞き比べてみましょう。
No | 調律法 | 曲名 |
1 | ピタゴラス音律 (紀元前からゴシック・14世紀ごろまで) |
2声のインベンション
データ作成: |
2 | アーロンの中全音律 (ルネッサンス後期・Pietro Aron,1480頃-1550頃) | |
3 | プレトリウスの調律法 (バロック初期・Michael Praetorius,1571頃-1621) | |
4 |
シュニットガーの調律法 | |
5 | キルンベルガー 第3法 (18世紀末・J.P.Kirnberger,1718-1795) | |
6 | 平均律 | |
7 | 番外編 導音重視タイプの調律 ハ長調、イ短調向き |
ピタゴラス音律が意外と使える音律であるというのは興味深いですね?。
私などは、ピタゴラス音律での演奏を何度か聴いた後で平均律をきくと、逆に「平均律ってこんなにアンバランスな音階だったっけ?」という感じがして耳を疑ってしまいます。
次の時代の中全音律では、ピタゴラス音律とは全く異なる雰囲気になるようですね。そして時代を経るにしたがって、だんだん現在の私達にも違和感の無い響きになってくるような気がします。
まず、バロック音楽としてよく知られている、ヴィヴァルディの「春」で、調律を聴き比べてみましょう。 どれが一番 「春」 らしい演奏にきこえるでしょうか?
No | 「長三度」 の取り方 |
調律法 | 曲名 |
1 | 普通 | 平均律 | 和声の創意と試み ヴァイオリン協奏曲 「春」 第1楽章 Allegro (RV269、ホ長調) Antonio.Vivaldi作曲
MIDIデータ制作: |
2 | 低め (純正調に近い) |
中全音律 (ミーントーン) (ホ長調用に、Eシフト) | |
3 | 高め | ピタゴラス音律 (ホ長調用にシフト) | |
4 | かなり高め | 導音重視タイプの調律 (ホ長調用にシフト) |
「長三度」の取り方を、「低め」から「かなり高め」まで、4とうり聴いていただきました。
まず、ここでのポイントは、長三度の音程をどう取るかということが、音楽をどう表現するかという時の選択肢として重要なポイントになるということです。これらは「こうあるべきだ」と強制されるべきものではなく、作曲家や演奏家の自由な意思にまかされるべきものだと思います。時には長三度をかなり高めに取る事も、十分許容されることでしょう。
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